「副業の確定申告、何から始めればいいの?」――筆者が副業を始めた1年目、まさにこの状態でした。ネットで調べても情報が多すぎて混乱し、結局3月に入ってから慌てて申告した苦い経験があります。
その反省を活かして2年目からは会計ソフトとe-Taxを活用し、申告にかかる時間を丸2日から約40分に短縮できました。本記事では、筆者が実際に試行錯誤して辿り着いた「副業確定申告の最短ルート」を、2026年(令和7年分)の最新情報に基づいてお伝えします。
確定申告が必要かどうかを30秒で判断する
まず最初に確認したいのが「そもそも自分は確定申告が必要なのか」です。以下の3つの質問に答えるだけで判断できます。
判断フローはたった3問
Q1. 副業の年間「所得」(収入-経費)は20万円を超えていますか?
ここで重要なのは「売上」ではなく「所得」で判断する点です。例えば副業の年間売上が35万円でも、経費が18万円かかっていれば所得は17万円。この場合、所得税の確定申告は原則不要です。
Q2. 本業の年収は2,000万円以下ですか?
年収2,000万円を超える方は副業の有無に関わらず確定申告が必要です。
Q3. 副業以外に確定申告が必要な要因(医療費控除・住宅ローン控除の初年度など)はありますか?
これらの控除を受ける場合は、副業の所得が20万円以下でも確定申告書に副業所得を記載する必要があります。
見落としやすい「住民税」の落とし穴
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要です。副業で1円でも所得が発生していれば、お住まいの市区町村への住民税の申告義務があります。筆者も初年度にこれを見落として、後から役所に連絡する羽目になりました。確定申告をすれば住民税の申告は自動的に行われるので、迷ったら確定申告しておくのが安全です。
確定申告の基礎知識(20万円ルールの詳細や所得区分の違い)については副業の確定申告ガイド|経費の計算方法と会社にバレない方法で詳しく解説しています。
副業の種類別|経費にできるものと節税額シミュレーション

確定申告で最も差がつくのが「経費の計上」です。同じ売上50万円の副業でも、経費を正しく計上するかどうかで納税額が数万円変わります。筆者が実際に確定申告を3回経験して整理した、副業種類別の経費一覧をまとめました。
Webライター・ブログ運営の経費例
| 経費項目 | 具体例 | 年間の目安 |
|---|---|---|
| 通信費(按分) | 自宅Wi-Fi・スマホ代の副業使用分 | 2.4万〜4.8万円 |
| サーバー・ドメイン代 | レンタルサーバー、独自ドメイン | 1.2万〜2万円 |
| ツール代 | SEOツール(Ahrefs等)、文章校正ツール | 1.2万〜12万円 |
| 書籍・教材費 | ライティング・SEO関連の書籍 | 1万〜3万円 |
| PC・周辺機器 | ノートPC、キーボード、モニター | 5万〜15万円 |
| 家賃(按分) | 自宅作業スペース分 | 6万〜18万円 |
シミュレーション例:副業年収50万円のWebライターが上記の経費を合計18万円計上した場合、課税所得は32万円。所得税率5%で計算すると納税額は約1.6万円です。経費を計上しなければ約2.5万円になるため、約9,000円の節税効果があります。副業収入が大きいほどこの差は広がります。
プログラミング・Web制作の経費例
| 経費項目 | 具体例 | 年間の目安 |
|---|---|---|
| 開発ツール代 | GitHub Pro、Adobe CC、JetBrains IDE | 2万〜8万円 |
| クラウドサービス | AWS、Google Cloud(テスト環境) | 1万〜5万円 |
| 技術書・Udemy講座 | プログラミング学習教材 | 2万〜5万円 |
| 通信費(按分) | Wi-Fi・スマホ代の副業使用分 | 2.4万〜4.8万円 |
| 外注費 | デザイナーへのUI制作依頼など | 0〜20万円 |
せどり・物販の経費例
| 経費項目 | 具体例 | 年間の目安 |
|---|---|---|
| 仕入れ代 | 商品の仕入れ費用 | 売上の50〜70% |
| 送料・梱包材 | 発送費用、段ボール、緩衝材 | 売上の5〜15% |
| プラットフォーム手数料 | Amazon FBA手数料、メルカリ手数料 | 売上の10〜15% |
| ツール代 | 価格追跡ツール、在庫管理ソフト | 1万〜3万円 |
| 交通費・ガソリン代 | 仕入れのための移動費 | 2万〜10万円 |
せどり・物販は仕入れ代が経費の大半を占めるため、帳簿で「売上-仕入原価=粗利」を正確に把握することが特に重要です。
動画編集・デザイン制作の経費例
| 経費項目 | 具体例 | 年間の目安 |
|---|---|---|
| ソフトウェア代 | Adobe CC、DaVinci Resolve、Canva Pro | 3万〜8万円 |
| 素材購入費 | ストック素材、BGM、フォント | 1万〜5万円 |
| 機材費 | PC(高スペック)、ペンタブ、カメラ | 5万〜30万円 |
| 外注費 | ナレーション収録、音声編集 | 0〜10万円 |
経費計上で一番大切なのは領収書やレシートを日頃から保管する習慣です。筆者はスマホの「freee」アプリでレシートを撮影するだけで自動仕訳される仕組みを使っています。これだけで確定申告時の経費集計がほぼ不要になりました。
e-Taxで確定申告する5ステップ|スマホだけで完結

2026年現在、e-Tax(国税電子申告)はスマートフォンだけで確定申告が完結します。筆者が実際にスマホで申告した手順を5ステップでお伝えします。
ステップ1:必要なものを準備する
- マイナンバーカード(通知カードでは電子申告不可)
- マイナポータルアプリ(iPhone/Android対応)
- 源泉徴収票(本業の会社から12月〜1月に届くもの)
- 副業の収支記録(会計ソフトのデータ or 手動集計したExcel)
- 経費の領収書(申告時の入力用。原本は7年間保管)
ステップ2:確定申告書等作成コーナーにアクセスする
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(https://www.keisan.nta.go.jp/)にスマホでアクセスします。「作成開始」→「e-Taxで提出(マイナンバーカード方式)」を選択し、マイナポータルアプリと連携してログインします。
筆者の場合、初回のマイナンバーカード読み取りに少し手間取りましたが、カードをスマホの背面に密着させて数秒待つのがコツです。2回目以降はスムーズにログインできます。
ステップ3:収入・経費・控除を入力する
画面の案内に従って、以下の順序で入力していきます。
- 給与所得:源泉徴収票の数値をそのまま入力
- 雑所得(副業分):「その他」の雑所得欄に副業の収入と必要経費を入力
- 各種控除:社会保険料控除、生命保険料控除など(マイナポータル連携で自動入力も可能)
会計ソフトを使っている場合、収入・経費の合計額を転記するだけなので、この手順は実質10分程度で終わります。
ステップ4:住民税の納付方法を「自分で納付」に変更する
副業を会社に知られたくない方は、この設定が非常に重要です。確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」で、住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に変更します。
これを選択しないと、副業分の住民税が本業の給与天引きに合算され、経理担当者に住民税の増額が見えてしまいます。筆者はこの設定を毎年必ず確認しています。
ステップ5:送信して控えを保存する
入力内容を確認したら「送信」ボタンを押して完了です。受付完了の画面が表示されたら、申告書のPDFを必ずダウンロードして保存しましょう。送信後に「受付番号」が発行されるので、これもスクリーンショットで残しておくと安心です。
追加の納税がある場合は、クレジットカード・コンビニ払い・振替納税など複数の方法から選べます。筆者はクレジットカード払いを利用してポイントを獲得しています(手数料がかかるため、納税額が少ない場合はコンビニ払いの方がお得です)。
会計ソフトで帳簿付けを自動化する|3大ソフト比較
副業の確定申告で最も手間がかかるのが「日々の収支記録」です。会計ソフトを導入すれば、この作業を大幅に効率化できます。筆者が実際に試した3つのクラウド会計ソフトを比較します。
| 項目 | freee | マネーフォワード クラウド | やよいの青色申告 |
|---|---|---|---|
| 月額料金(税込) | 1,078円〜 | 990円〜 | 1,078円〜(初年度無料あり) |
| スマホアプリ | 充実(レシート撮影OK) | あり | あり |
| 銀行口座連携 | 対応(自動仕訳) | 対応(自動仕訳) | 対応 |
| e-Tax連携 | 直接送信可能 | 直接送信可能 | 直接送信可能 |
| 向いている人 | スマホ操作メインの初心者 | 複数口座を管理したい方 | 弥生シリーズに慣れた方 |
筆者のおすすめは、副業初心者ならfreeeです。スマホアプリの使いやすさが圧倒的で、レシートを撮影するだけで経費の仕訳が自動で行われます。銀行口座やクレジットカードと連携すれば、副業の売上入金も自動で記帳されるため、確定申告前に「1年分の領収書を必死で整理する」という地獄から解放されます。
一方、副業で複数の銀行口座やクレジットカードを使い分けている方にはマネーフォワード クラウドがおすすめです。口座の連携数に制限がなく、資産全体の把握にも使えます。
知らないと損する副業の節税テクニック3選

確定申告は「正しく申告する」だけでなく、合法的な節税対策を活用することで手取りを増やせます。筆者が税理士に相談して教わった、副業向けの節税テクニックを3つ紹介します。
テクニック1:青色申告で最大65万円控除
副業の所得が「事業所得」として認められる場合、青色申告をすることで最大65万円の特別控除を受けられます。例えば副業所得が100万円の場合、控除後の課税所得は35万円まで下がります。所得税率5%で計算すると、約3.25万円の節税です。
青色申告の条件は「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に提出していること。どちらも書類1枚で手続きできます。freeeやマネーフォワードを使えば複式簿記(65万円控除の要件)も自動で対応できます。
テクニック2:家事按分で自宅の経費を計上する
自宅で副業をしている方は、家賃・光熱費・通信費を「副業で使う割合」分だけ経費にできます。これを家事按分(かじあんぶん)と言います。
筆者の場合、1日の作業時間が約3時間(24時間の12.5%)、作業スペースがリビングの約20%を占めるため、按分率を15%に設定しています。家賃8万円の15%で月1.2万円、年間14.4万円が経費として計上できます。
テクニック3:小規模企業共済で老後資金と節税を両立
副業を個人事業として行っている方は、小規模企業共済に加入できます。月額1,000円〜70,000円の掛金が全額所得控除の対象となり、将来の退職金代わりにもなります。
例えば月3万円を積み立てると年間36万円の所得控除。所得税率10%の方なら年間3.6万円の節税になりながら、将来の資産形成もできる一石二鳥の仕組みです。
確定申告の失敗を防ぐチェックリスト
最後に、筆者が3年間の確定申告で学んだ「やりがちな失敗」と対策をまとめます。
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 経費の領収書を紛失する | 受け取ったその場でスマホ撮影。会計ソフトのレシート読み取り機能を活用 |
| 住民税の普通徴収を選び忘れる | 送信前に「住民税に関する事項」を必ず確認 |
| 副業が雑所得か事業所得か判断できない | 年間売上300万円以下は原則「雑所得」。帳簿保存があれば事業所得の可能性も |
| 申告期限を過ぎてしまう | e-Taxなら3月15日23時59分まで送信可能。余裕を持って2月中に着手 |
| 還付申告を忘れる | 副業の源泉徴収がある場合、申告すると税金が戻る可能性あり。5年以内なら遡って申告可能 |
特に初めて確定申告する方は、2月中に一度e-Taxの画面を開いて「下書き保存」まで進めておくことをおすすめします。本番で慌てずに済みますし、不明点を調べる時間的余裕も生まれます。
副業の確定申告は、最初は面倒に感じるかもしれませんが、会計ソフトとe-Taxを使えば年に一度の30分〜1時間の作業で済みます。大切なのは(1)日頃から経費の記録をつけること、(2)副業の種類に合った経費を漏れなく計上すること、(3)節税制度を活用することの3点です。この記事が皆さんの確定申告の不安解消に役立てば幸いです。
副業をこれから始めたい方は副業の始め方完全ガイドを、おすすめの副業を探している方は副業おすすめランキング15選をご覧ください。フリーランスとして独立を考えている方にはフリーランスの始め方ガイドもおすすめです。